世界不動産バブル崩壊

オーストラリアシドニー郊外のエッピングという街の話が興味深いです。ロイター通信によると、エッピングの住宅価格は2017年までの8年間で2倍に上昇していたそうです。それが、17年8月のピークから2割以上下がったそうです。

 

その理由はオーストラリア当局は外国人への融資を規制し、中国が資本流出を規制し、中国人投資家によるオーストラリア不動産投資が減ったことの様です。

 

私は実はこれがオーストラリアだけに当てはまるのではなく、世界中の都市で当てはまるのではと思っております。中国人(中華系の方)が買いあさったエリアの一番はオーストラリアですが、カナダやその他の地域にも影響が出てます。

 

 

アメリカカリフォルニア州の不動産
アメリカカリフォルニア州の不動産

 

オーストラリアの不動産

 

ロイターによると不動産価格がピークを付けた2017年、シドニー郊外の住宅地エッピングには開発業者が不動産を高値で買いあさったそうです。それが今では住宅価格の下落に歯止めがかからず、エッピングはバブル崩壊の震源地とみられるようになったという事です。

 

不動産の買い手は支払い不能になり、一部のプロジェクトは借金を背負った状態。債権者が資金を回収するため、アパートがまとめて売りに出され、この地域の不動産価格をさらに押し下げているとの事。

 

過去27年間一度もリセッション(景気後退)に陥らず拡大し続けてきたオーストラリア経済全体に影響し始めています。

カナダの不動産

 

カナダの大手不動産グレーター・バンクーバー調査では、同市の一戸建て住宅の平均価格が40万カナダドルから175万カナダドルとなり、2002年から上昇している。これは15年で3倍以上に価格が上昇したということである。中国の海外投資抑制がカナダでも影響しているという事です。

 

(ファーウェイの副社長がカナダで逮捕されたことなども今後影響すると思われます。)

 

アメリカロサンジェルスの築100年の戸建てで当社が以前保有
アメリカロサンジェルスの築100年の戸建てで当社が以前保有

 

 

アメリカの不動産

 

当社はアメリカの不動産に関しては2012年前後に2棟購入しましたので、中国人や中華系の方と競合する事が多くありました。また、アメリカでのファイナンスが厳しい時に、シンガポールや香港などではアメリカの不動産のフリッピングファンドのセールスが盛んでした。

 

(アメリカ不動産市場への資金流入の一つがその様なフリッピングファンドでした。)

 

ただ、アメリカのマーケットは大きいという事もあり、現在までの所それ程の影響がある様には見えません。

 

実際、例えば私が購入したオースティン等では2017年に比べて2018年の不動産価格は3%程上昇し、売買数も10%程増加しています。

 

但し、中華系の方の一定程度の投資が入っていた事と日本の大手企業が参入しておりバブル懸念があります。(日本の大手不動産会社は海外投資で高値掴みで有名ですので…)

 

 

アメリカカリフォルニア州不動産
アメリカカリフォルニア州不動産

 

日本の不動産

 

日本の不動産に関しては中華系の方の買いは以前程の勢いはなくなりました。売却される方も多くおります。但し、一定程度のインバウンド狙いの買いは継続的に入っております。(京都町屋、東京浅草、北海道ニセコ等がその代表的なところです。)

 

 

不動産バブル指数

 

UBSグループがリスクをランク付けしている2018年主要都市グローバル不動産バブル指数によると香港、ミュンヘン(ドイツ)、トロント(カナダ)、バンクーバー(カナダ)、アムステルダム(オランダ)、ロンドン(英国)までがバブルリスクが高いとされてます。

 

続いて、ストックホルム(英国)、パリ(フランス)、サンフランシスコ(アメリカ)、フランクフルト(ドイツ)、シドニー(豪)、ロサンジェルス(アメリカ)、チューリッヒ(スイス)、東京が買われ過ぎと評価されてます。

 

香港に関しては60㎡の一般的なマンションを買うのに、一般的な人が年収ベースでの支払いが22年となっているそうです。22年ですよ…日本だと5年、6年を基準に住宅ローンが出て買われてます。

 

このバブル指数の上位の都市は中華系の投資家が好んで買っていました。

 

 

Bloomberg
https://www.bloomberg.com/markets/fixed-income

 

アメリカ不動産投資でトラブルにあった物件
アメリカ不動産投資でトラブルにあった物件 (テキサス州オースティン)

 

 

米中貿易戦争の不動産市場への影響

 

私はこの米中貿易戦争の結果が中国をはじめとする世界各国の不動産市場に下落をもたらすのではと危惧しております。この貿易戦争はマスコミの報道によるとアメリカが優位で中国が厳しい戦いとなっているという事ですが、そのネガティブな影響は中国若しくは中華系の方の投資マインドにマイナスに働きそうです。

 

それが、中国国内の外貨持ち出しの抑制と相まって海外不動産投資の抑制へとつながるでしょうし、ファーウェイの話でもそうですが、アメリカの同盟国や準同盟国での中国製品の締め出しは、引いてはそういった人々の不動産投資の解消につながると考えるのが自然かと思います。

 

自分が彼らの立場だったらと考えて、投資している外国がウェルカムでなくなったら投資続ける理由は減りますよね。少なくとも追加投資をしたいとは思わないかと。

 

ロサンジェルスの夕暮れ
ロサンジェルスの夕暮れ

まとめ

 

米中貿易戦争が端緒となる世界的な不動産価格の下落の影響を日本も避けられないと思います。ただ、それがどの時点で起こるかは今のところ予測出来ませんが…

宇都宮売りビル(投資用・自社ビルどちらでも) 速報

栃木県宇都宮の売りビルが出ました。当社が専任媒介契約になります。場所はJR宇都宮駅西口から徒歩6分程の立地になります。

 

 

宇都宮売りビル(投資用・自社ビルどちらでも)
宇都宮売りビル(投資用・自社ビルどちらでも)

 

 

 

宇都宮売りビル概要

 

想定利回りは10.5%前後となります。ただ、現状は空室が2フロアありまして自社ビル等の使用には向くかと思います。

 

現在機械式立体駐車場がありますが、稼働はしておりませんので将来修理して利用する事も出来るかと思います。車を多く使うレンタカーやシェアカー等のビジネスユースにも向くかもしれません。

 

 

まとめ

投資用物件としてというよりは自社ビル等と兼用で利用するには悪くないかと思います。

所有者不明土地措置法で空家不動産は減るのか、不動産投資への影響は

空家不動産に関するニュースで廃墟から探検をしていた若者が転落して亡くなった事をご存知でしょうか?人の土地や建物に勝手に入った人が悪いのですが、一方、空家や廃墟をそのままに放置していた方に全く落ち度がなかったとは言えないかと思います。

 

廃墟での事故の記事はこちら
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190519-00022369-tokaiv-soci

 

そんなニュースがあるのと時を同じくして、5月17日に所有者不明土地措置法が国会通過。所有者不明の土地の売買に関して一部法制化されたという事です。

 

 

東京都内の空家戸建て(所有者不明土地か…)
東京都内の空家戸建て(所有者不明土地か…)

 

所有者不明土地

 

廃墟等の放置された不動産が上記の様な悲劇をもたらすのみならず、管理不十分な所有者不明土地は様々な問題を引き起こします。5月18日付の日経新聞によると、「相続で700人の共有になり、役10人の所在地が不明等のケース」もあるようです。

 

所有者不明土地がもたらす問題が顕著に取り上げられたのが東日本大震災の時でした。震災前は海に近いエリアが職住一体で利便性が高く、多くの人々はそのエリアに住んでおりました。

 

ところが、東日本大震災によって発生した津波のお陰で、職住を分けようという考えに至りました。漁業やその加工業の仕事は海沿いで行い、住居はその当時は山林等の未利用地を開発して住居エリアを造ろうという考えでした。

 

その際に立ちはだかったのが、相続等で所有者が不明となった所有者不明土地の存在です。所有者不明土地はその多くは相続人等の所有者を辿る事が出来ますが、その為には多大な時間と労力と費用が掛かります。

 

また、中には所有者不明土地に相続人がいない等の状態に直面する場合もありました。いずれにしても、今回の震災に対応しての開発をするのに、所有者不明土地は壁となって立ちはだかりました。

 

 

開発のために整地された土地
開発のために整地された土地

 

 

所有者不明土地のもたらす問題

 

所有者不明土地のもたらす問題は、震災等の災害時のみならず日本全国で静かに進行しております。所有者不明土地は現在九州の面積を超えて、今後は北海道の面積を超える広さになって、それが拡大し続けていると言われております。(一般財団法人国土計画協会で行われている「所有者不明土地問題研究会」の調査による)

 

所有者不明土地は多くの場合に相続が理由となっております。相続によって遺産分割協議の話し合いがつかない事でみなし共有という状態で不動産が放置されるのが一番の原因と言って良いかと思います。

 

東北の場合等では当初全く価値を持たなかった山林などの土地が、大震災の為皮肉にも価値を持つ土地と変わった事で権利の調整も手こずりました。

 

東京都内等の私の周りでも、東京都心にも関わらず蔦やその他の植物が建物に絡みつき数十年は人が出入りしてなかったのではという不動産に出くわすこともあります。それらの所有者不明土地は空家問題を引き起こし、地域の治安を悪化させ、防災に弱い街を造る原因になっております。

 

 

新宿区の相続物件解体準備中
新宿区の相続物件解体準備中

 

所有者不明土地措置法とは

そこで所有者不明土地措置法(正式名称:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法)が出来たわけですが、その条件を満たす土地は全国の1%程度に留まるという事で膨大な所有者不明土地問題の解消には程遠いという事です。

 

そこで今後は予防策として2本柱の対策を考える様です。

 

1.所有者不明土地をつくらない仕組み

2.相続登記を義務化、土地所有権の放棄を認める

 

所有者不明土地を活用する仕組み

 

・共有者が不明でも広告・供託等で利用可能に

・所有者が不明でも水道管などの設置可能に

 

東京のマンション
東京のマンション

 

まとめ

冒頭にも指摘しましたが、空家は事件や事故の原因ともなりますし、災害時には誰も管理をしていない土地建物なので災害を拡大する要因にもなります。今後空家問題や所有者不明土地の問題は日本全体の問題であります。

 

空家対策で先行するイギリスでは一定の手続きを経て自治体が利用権を収容できる強い権限の制度があるそうです。日本でも参考に出来るのではという事です。

 

不動産投資という点では空家が多い自治体での不動産投資はリスクが他よりも
高いとも言えると思います。

フラット35不正利用疑惑続報

2019年5月15日の日経新聞の金融経済面でフラット35の不正利用疑惑の記事が出ておりました。現在も調査中の様ですが、続報です。

 

前回のコラムはこちら ↓

アパートローンマンションローンの代わりにフラット35を不正利用した不動産投資

 

 

ローン借り入れ条件等
ローン借り入れ条件等

 

住宅金融支援機構調査

 

住宅金融支援機構は全ての融資先について自己の居住用名目で借り入れた物件に関して、実は当初から投資用ではなかったかの不正調査を始める様です。

 

第三者への賃貸借を前提とする不動産投資の為の融資を住宅ローンで認める事はありません。ただ、前回の私のコラムでも書いた通り、当初居住用で購入した人が転勤などの理由でやむを得ず貸し出している物件は除かれる様です。

 

アルヒの社長コメント

 

不正の疑いのある案件は過去に手掛けてきた十数万件のうちで0.1%以下に留まる。

 

まとめ

他の不動産投資向けの融資がずさんだった為、過剰に反応されてしまったかもしれません。ただ、一部の業者が、スルガ銀行やその他の銀行の融資が難しくなって来た為に審査の比較的緩い住宅ローンに流れてきたという点は変わりありません。

 

 

日経新聞の有料会員なら記事も読めるかと…

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44781180U9A510C1EE9000/

東急東横線学芸大駅徒歩11分の売り一棟マンション

東急東横線の学芸大駅から徒歩11分の立地で一棟売りマンションが出ました。実はこの物件はリーマンショック後に私の友人に購入してもらった物件になります。

 

その為、当社が当時からの流れが分かりますし、直近数年は満室稼働が続いております。

 

 

東急東横線沿いの一棟売りマンション(学芸大駅11分)目黒区中央町
東急東横線沿いの一棟売りマンション(学芸大駅11分)目黒区中央町

 

 

 

 

目黒区中央町の売りマンション概要

 

 

想定満室利回り約5.7%

 

平成2年築のRC

 

価格7億5000万

 

学芸大駅から徒歩11分

 

コインパーキングと月極駐車場の混合運用

 

 

目黒区中央町一棟売りRCマンションの宅配ボックス
目黒区中央町一棟売りRCマンションの宅配ボックス

 

 

目黒区中央町の売りマンションの特徴

 

テナント属性良好

 

テナントは女性の住みたい路線ナンバーワンの東急東横線沿いという事もあり、高収の若い方の入居が多くなっております。また、若手の芸能人などが過去入居している等お洒落に感度の高い人の入居も多くなっております。

 

コインパーキングと月極駐車場の混合運用

 

コインパーキングと月極駐車場の混合運用にしたのは私の提案でしたが、月極だけで運用するとどうしても未利用の駐車スペースが出てしまう中、一部を時間貸し駐車場運営会社に貸し出すことにより安定的な収益を得る事が出来る様になりました。

 

宅配ボックスを設置してテナントの利便性を向上

 

宅配ボックスは新オーナーのアイデアで設置されました。独身の若い人達で数年前からアマゾン等の宅配のニーズが高まる事を想定して設置しました。築年数が古い物件にしては珍しいのではと思います。

 

エアコン設備を一新

 

エアコン設備は耐用年数を経過していた物を順次新しいものへ入れ替えを進めました。

 

東急東横線学芸大駅一棟売りRCマンションの概要
東急東横線学芸大駅一棟売りRCマンションの概要

 

 

まとめ

 

女性が住みたい路線ナンバーワンの東急東横線沿いマンションであり、ここ数年は常に満室稼働が続いている等安定的な収益が確保出来ております。また、水回りの修繕等かなり大幅に手を入れておりますので築年数の割には現状では問題が少なくなっております。

 

柳沢まで  080-4094-3368

アパートローンマンションローンの代わりにフラット35を不正利用した不動産投資

アパートローンマンションローンの代わりにフラット35を利用した不動産投資が新聞紙上で問題になっております。問題の図式はスルガ問題とあまり変わりません。

 

ただ、スルガの問題はアパートローンマンションローンという商品内での不正だったのに比べて質が変わります。

 

 

ローン借り入れ条件等
ローン借り入れ条件等

 

 

フラット35とは

 

そもそもフラット35とは国民が住宅を購入しやすくする目的で運営されている商品です。独立行政法人の住宅金融支援機構が住宅金融市場における安定的な資金供給を支援し、住生活向上への貢献をめざす名目で民間の金融機関のローン債権を買い取って資金提供しております。

 

金利の高いバブル期以前は民間の住宅ローン等で固定金利期間が終了し急激に金利が上昇するなどの問題が発生したのに対処する為に返済に困る人が続出する事で社会問題化しました。フラット35等の固定金利融資は低リスクであるという事から官民あげて推進されていました。

 

ところが、その制度を悪用してそもそも居住しない物件を購入し、投資用不動産の借入に使うという手口の様です。不正利用が疑われるアルヒのHPには借り入れ条件が出てますが、かなり基準が緩い感じです。(ただし、アルヒによると今のところ不正が見つかっていないという事です。)

 

ARUHIのフラット35
https://www.aruhi-corp.co.jp/product/super_flat/requirement.html

 

厳格化するアパートローン
厳格化するアパートローン

 

 

フラット35を利用した不正に関して

 

フラット35を利用した不正は、本来自分が住むだけに利用できる住宅ローンをマンション等を購入して他人に賃貸させる不動産投資の為に利用したことが疑われるのがポイントです。国交相が調査を依頼したという事です。

 

 

日経新聞記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44498140X00C19A5EE9000/

 

住宅ローンの期限の利益とは

 

住宅ローンやアパートローンマンションローンの期限の利益とは善意の借手を保護するための考えで、借手は普通に返済を継続していれば金融機関から期限内で融資の返済を求められないという物です。

 

ただ、それは借手が金銭消費貸借契約の基準に従っている必要があります。もし、借手がフラット35等の借入の約款に違反していたらどうなるかと言えば、期限の利益喪失事由に該当し期限前返済を求められる事になります。

 

 

日没
日没

 

 

フラット35を利用した不正の場合

 

フラット35を利用した今回の不正の場合には、そもそもの最初から自分が住む目的ではなく購入した物件で賃貸収入を得る不動産投資の観点で物件を購入しておりますので期限の利益喪失事由に該当する可能性が高いと思います。

 

業者の口車にのって不正な借入をしてしまった方は残念ながら厳しい現実にこれから直面する事になるかと思います

 

期限の利益喪失にならない場合

 

私どもの所に時々相談が来ますのが、住宅ローンで物件を購入して住宅として住んでいたが、会社の辞令で遠方に引っ越す為一旦その家を空家にしなければならないケースなどがあります。

 

その場合に、お客様から聞かれるのが住宅ローンなのでもし賃貸に出した場合には一括返済をしなければならないですかという内容です。

 

自宅として住んでいたいがやむを得ない理由によって賃貸に出さざるを得ない場合には住宅ローンの返済を求められないケースも多くあります。

 

また、実際金融機関の担当に連絡しても「聞かなかったことにしてください」等と対応されるのが殆どです。

 

この様に当初も、今後も住宅として利用したいがそう出来なくなる場合には個別に金融機関に確認頂ければと思います。

 

ただ、ここで住宅ローン減税は利用出来なくなるという事は注意してください。年間を通じて住んでいない場合には住宅ローン減税の対象となりませんので。

 

ローン返済時の書類
ローン返済時の書類

 

 

不動産投資や収益不動産の市場への影響

 

不動産投資や収益不動産の市場への影響ですが、今回のニュースもプラスではありません。ただでさえ、スルガ銀行やその他金融機関を利用した不正融資で不動産投資を抑制する空気が強い中、更なる問題は金融機関の融資スタンスを悪化させる事は間違いありません。

 

今回のフラット35を利用した不正融資は区分所有マンションでの利用が多かった様に思われますので、その分野の融資付けに一層苦労する事は間違いないと思います。

空家総数過去最高

GW中の新聞記事で不動産関連では総務省発表の空家データに関してが最も気になるものでした。

 

共同通信社の4月26日の配信によると、全国の空き家数は2018年10月1日時点で846万戸と過去最高になったことが26日、総務省の住宅・土地統計調査(速報値)で分かった。5年前の前回調査に比べ26万戸増加した。

 

 

その後同日に日経新聞が、5月5日に朝日新聞が記事を書いておりますので、その辺を踏まえて解説いたします。

 

東京都内の空家戸建て
東京都内の空家戸建て

 

空家処理の現状

 

こちらは日経新聞の記事が詳しく出ておりますが、15年に空き家対策特別措置法が施行されて以降、市区町村が修繕や撤去を所有者に特定空家として勧告した物件は昨年10月初めまでで708件。

 

それでもらちが明かないと、解体などの代執行に踏み切った物件も118件あるそうです。

 

ただ、これは現状の空家の総数や増加数からすると非常に低い割合になります。要は、行政の対応が空家数の増加に全く追いついていっていないのが現状です。(全体の増加が26万ですから…)

 

新宿区の相続物件解体
新宿区の相続物件解体

 

都道府県別の空家率の推移

 

 

こちらも日経に詳しく出ておりますが、空家率のランキングは1位が山梨県の21.3%で以下20.3%の和歌山県、19.5%の長野県、19.4%の徳島県、18.9%の高知県と続きます。

 

一方、空家率が今のところ低いのは、埼玉県の10.2%、次いで沖縄県の10.2%、東京都の10.6%、神奈川県の10.7%で愛知の11.2%と続きます。

 

全体的に人口流入超過の自治体が空家率の低い所として見られます。

 

日経新聞の記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44287370W9A420C1EA2000/

 

ただ、これも日本全体として考えたらどうなの?っていう話になります。空家率が低い自治体があったとしても、それは他からの流入によって賄われており日本全体の人口減少と住宅過剰は変わりません。問題の付け替えでしかないのです。

 

人口減少と空家増加から来る工場の閉鎖
人口減少と空家増加から来る工場の閉鎖

 

 

空家特例の延長

 

税制上のメリットが空家を売却した場合に得られる空家特例があります。空家を減らす為に政府が作った制度です。

 

 

当社のお客様でも実際に利用したり、利用を検討された方がおりますが、意外とハードルが高いのがこの特例です。国や自治体も野放図に税額が減少する制度をするわけにもいかないので、空家特例の判定はかなり厳しいものとなります。

 

 

その厳しい要件は以下の点になります。

1. 家を受け取る日の直前まで、家を渡す人(親など)が住んでること。

 

2. 家を渡す人(親など)以外の人が住んでない家であること。

 

3. 家は1981(昭和56)年5月31日以前に建てられたこと。

 

4. 家を受け取ってから売るまでのあいだ、仕事に使ったり、人に貸したり、誰かが住んだりしてないこと。

 

5.自身で空家を解体して土地として売却しなければならないこと。

 

国税庁HP空家特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

 

上記の要件が意外と厳しいので、空家特例をお勧めしなかったケースも御座います。実際のケースとしては空家特例に該当する空家かどうかの判定を市区町村等の自治体の認定をもらってそれから税務署に書類を持ち込みます。

 

 

その際に、税務署と市区町村の間の力関係なのか、市区町村は非常に厳しい判定を行います。

 

 

また、解体を誰が行うかによって空家特例が使えるか否かが決まります。不動産売買とも関係するので解体費を前払いする等意外とハードルが高い点もあります。

 

 

ただ、今後の税制改正で以下の点が変更になるようです。

 

 

【税制改正での変更点】

 

1. 期間が4年延長されて、2023年12月31日までになる。

 

2. 介護認定を受けてから老人ホームに入っても、空き家特例が使えるようになる。

 

3. 使用の制限については「老人ホームに入ってから家をもらうまで」になる。

 

若干、空家特例は利用しやすくなりますが、実際の運用がどうなるのかはこれからかと思います。

 

人口2/3減少時代の到来と「新」成長戦略
人口2/3減少時代の到来と「新」成長戦略

 

 

 

空家不動産は今後も更に増える

 

国や地方自治体の努力は兎も角、野村総研等の統計上の予想では空家は今後も増え続ける事になります。2030年を超える頃には3戸に1戸が空家になる時代が全国的には到来します。

 

先日、私は野村證券主催の人口動態に関わるセミナーに参加しましたが、2100年までの長期トレンドでは江戸時代からの日本の人口の長期トレンドに落ち着くという試算が述べられました。それによると、2100年前後では日本の人口は5000万人前後となり、現在の3分の1近い人数となってしまうという事です。

 

100年住宅を建てるのも良いのですが、100年後にはその住宅を使う人がいない事を考えるべきかと思いました。

 

(総務省の統計によると「住宅総数」も179万戸多い6242万戸と過去最多を更新した。住宅総数、空き家数、空き家率とも伸び率は落ちてきたものの、右肩上がりは続くという事です。)

人口減少のトレンド
人口減少のトレンド